« 熱く語る方 | トップページ | トンデモ系新書 2冊 »

2008年7月15日 (火)

事件の意味

内田樹の研究室 コピーキャット社会

私はこの事件についてはすでに数回話しているが、そこで繰り返し述べたのは、これがきわめて「記号的な」事件だ、ということである。
犯人自身が「ワイドショー独占」と書いているように、「この事件は何を意味するのでしょう?」という問いかけがメディアを賑わせることそのものを目的として行われた。
そして、メディアはその目的通りに動かされている。
彼が秋葉原で人を殺したのは、人を殺すことを目的としてではない。(無差別殺人というのは、「殺すことが目的ではない」ということである)。
そうではなくて、「この殺人はいったい何を意味しているのでしょうか?」という問いを人々が立てることである。
つまり、「この殺人はいったい何を意味しているのでしょうか?」という問いを立てた人々は自動的に「事後従犯」となるように犯行は構成されているのである。
私はそれを「悪魔的」なものだと思う。

(略)

コピーキャットによる犯罪の無限の増殖を防ぐために私たちがなすべきことは、事件を「記号的に」解釈することではない。
「記号的に解釈されることをめざしてなされる事件」の発生の構造そのものを解明することである。
では、どうすればいいのかと言われても、私に確たる答えがあるわけではない。
とりあえず私に言えることは、「この事件が意味するものは?」という問いがすでに「事件の一部」をなしているという病識だけは持ち続けなければならないということである。

この人は、彼が秋葉原で人を殺したのは、人を殺すことを目的としてではない、とか、「この殺人はいったい何を意味しているのでしょうか?」という問いを立てた人々は自動的に「事後従犯」となるように犯行は構成されているのである、と言うこと自体が事件を「記号化」し「意味」づけてしまっているということに気付かないのだろうか?
それとも、気がつかないふりをしているだけなのだろうか?

|

« 熱く語る方 | トップページ | トンデモ系新書 2冊 »

社会」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/505105/22292856

この記事へのトラックバック一覧です: 事件の意味:

« 熱く語る方 | トップページ | トンデモ系新書 2冊 »