福岡伸一とプレミアム・モルツ
ついでに、もう一つ福岡伸一センセイのお勧めを。
福岡センセイはサントリーのプレミアム・モルツの雑誌広告に出演されてまして。
そこから名言の数々を引用してみましょう。
福岡 生命現象は一回限りのものですから、全く同じように再現するのは不可能です。我々の研究室でも、例えば実験にマウスを使う場合、遺伝的なバックグラウンド一定の個体を選びます。そして慎重に進めても、結果には予想以上のズレが生じる。生命現象は、一回限りのプロセスで起きているからです。そういう背景を知っているから、生き物である酵母を使って、一般的に毎回同じと感じさせる味のビールをつくるのは、非常にチャレンジだと理解できるんですね。
福岡 ICチップを組み立てるように、完全な再現性があるわけではない。でも、我々が飲むと毎回、同じようにおいしいビールが出来上がる。同じことを繰り返すのではなく、結果をそろえるためにプロセスを変えることもあると思います。だから私は、ビールづくりにもクラフトマンシップを感じる。
福岡 ザ・プレミアム・モルツの原料は麦芽、ホップ、水だけ。シンプルなだけに、ごまかしが利かないという印象です。
福岡 要素還元主義は、指標が明確だから効率的なんだと思います。でもそれだけでは、ザ・プレミアム・モルツのように、人を感動させるビールはできない、と。非常に気高い理念を感じますね。
福岡 煮沸するとアミラーゼの働きは止まりますが、ほかの現象が起きているはずです。生命現象をリスペクトしながら、巧みに取り入れているから、香りだけでなく苦みも甘みもいろんな要素が一つになった、ほかとは違うおいしさが生まれるのでしょう。私も仕事の後によくビールを飲みますが、ザ・プレミアム・モルツだけは、ブラインドテストをしても分かるくらい特徴が明確。まず苦みが走り、ほのかな甘みと深い旨みも感じられて、後味はすっきりしています。つい、おかわりをしたくなる。
そう言えば、福岡センセイは以前こんなことを書いていたような。
専門家は遺伝子組み換え作物がそれほどコストダウンにつながらず、まして食料危機を救えるものでもないことを知っている。専門家は、クローン動物を極めて不安定な試行錯誤の上で稀に生じる見かけ上のものであることを知っている。専門家はサプリメントがほとんど効果のないことを知っている。専門家は臓器移植が唯一の延命法でないことを知っている。専門家は侵襲的な処置を何もしないほうがガン患者とって幸福であることを知っている。それを言わないのが職業上の倫理感だ。言えば自分たちのナイーヴすぎる意図やポリティカルな志向がたちまち露呈する。
気鋭の分子生物学者が缶ビールを褒めていても信用するなってことですよね。分かります。
完全に中立的な専門家などいないからだ。専門家は職業であり、彼らはそのテクノロジーが広まることで糊口をしのいでいる。だから常に彼らはある選択肢に関して、リスク対ベネフィットの説明に一定の省略を行い、何らかのインセンティブを設けて、そのテクノロジーを受け入れる方向に誘導する。
その実例を見せていただきました。
ありがとうございます。
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