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2008年2月13日 (水)

中央公論 3月号

 特集「新書大賞ベスト30」。「全国紙三紙(『読売新聞』『朝日新聞』『毎日新聞』)書評委員11名、主要な新書の編集部から13名、大手書店の新書担当者6名、計30名に一人三冊ずつ挙げていただいた結果」、大賞は福岡伸一の『生物と非生物のあいだ』になりましたとさ。フーン。
  まあ、それはどうでもいいのだ。問題は福岡伸一の受賞インタビューだ。
 
  -福岡さんご自身は新書をお読みになりますか。
  福岡 新書は昔から好きですよ。中公新書でいえば、清水博さんの『生命を捉えなおす』は、大学に入ったころ読んで、画期的な生命論だと思いました。(略)
 
  イヤハヤ、驚きましたね。何で驚いたかっていうと、この本は、私が福岡伸一批判をしたときに、『生物と非生物のあいだ』に書いたあるようなことはとっくの昔に書かれているということの例証として挙げた本だったからだ。
  再度、『生命を捉えなおす』から引用する。

   結晶の形態が最も安定なのは、その構成要素である原子や分子の位置ができるかぎり動かないときですが、このことは生体の形態には当てはまりません。生体の形態は、生体を構成している原子や分子が運動したり、反応したり、入れ替わったりすることができるときだけ、すなわち生体が生きているときだけ、安定であるからです。この理由から結晶構造が持っているような秩序を静的秩序と名づけたのに対して、生体の形態にみられるような秩序を動的秩序と呼ぶことにしましょう。
  ここで、これまで考えてきたことをまとめてみましょう。
  (1)生きている状態は、特定の分子や要素があるかないかということではなくて、多くの分子や要素の集合体(マクロな系)が持つ、グローバルな状態(相)です。
  (2)生きている状態にある系は、高い秩序を自ら発現し、それを維持する能力を持っています。
  (3)その秩序は結晶にみられるような静的秩序ではなく、動的秩序であり、これから説明していくようにその秩序を安定に維持するためには、エネルギーや物質の絶えざる流れを必要としています。
「生命を捉えなおす」清水博 1978  p98

 ホラね、『生物と非生物のあいだ』と一緒でしょ。福岡は、この本を読んで「画期的な生命論だと思」ったくせに、『生物と非生物のあいだ』では、そんなことはオクビにも出さずに、さも目新しいことでも主張しているかのような書き方をしていたのだ。マッタク、呆れるね。
  ついでに言うと、同じ特集で、永江朗、宮崎哲弥、渡邊十絲子の座談会をやっているのだが、これがまたヤバイ。

  宮崎 福岡さんは教養人だし文章家だから。日本のスティーヴン・J・グールドでしょう。当人に「グールドみたいな科学随想を書きなよ」って言ってたんですよ。(略)

  気の毒なグールド。福岡伸一と一緒にされちゃいました。まあ、確かに文章が少々しつこくて冗長に流れるきらいがあるところは共通してますけどね。それにしたって、グールドと福岡じゃあ、教養のレベルが違うんじゃないかと思うのだが。
  それにしても、気がついたら「中央公論」っておそろしいことになっちゃってるな。何しろ、茂木健一郎と竹内薫が連載を持ってて、特集では福岡伸一と宮崎哲弥が登場だ。実にコウバシイ。

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